波頭

束の間、淡く残ることについて

夢のおすそわけ - と影「寄添 you resew」について

と影さま 突然のお手紙失礼いたします。 展示のキャプションが手紙の体裁をとっていらっしゃったので、それに応えるように手紙として文章を書いています。 * まず、ひとつ謝らせてください。まだ展示準備中だと丁重に頭を下げていらっしゃったのに「大丈夫…

アート・インクルージョンという場において - メモ

概要 私がアート・インクルージョン(Ai)に参加*1したのは2022年8月、インドネシアに行って帰って来てからすぐのことだった。気が付けば1年と3ヶ月、どたばたと目まぐるしく過ぎていった。色々なことがあって、今月15日付で私はパートナー*2ではなくなった。 …

制作のたどりなおしと制作的なこと - メモ

2022年11月11日に「栞の束から制度化へ:制作するを制作する」と題してオンライン企画を行った。ここに残すのは、当企画において準備したハンドアウトの一部である。 はじめに:背景と趣旨 制作をたどりなおす 高倉の制作(2017年〜) 滴々の制作(2021年1月〜)…

20230709 松本市 昨日の夜は眠れなくてカーテンが波うち膨らむのを見ていた衣擦れの音は寝返りのように聴こえて同居していた誰かの服や化粧品を捨てている瞬間に川面は静かな光 終わりそうで終わらない花火のかたち 最後の頁は白紙にしたまま貴方がいつでも…

涙とおかえし - 「ボーダレス映画祭2023」雑感

今年も去年と同じようにボーダレス映画祭に映像担当として参加したので、ここに感想を書き残しておきたい。自分の個展の準備で忙しくしていたのもあって体調が万全ではなく、全部の作品をしっかりと観ることができなかったため前回のような文章にはならなか…

風景についての序文 - 「木町通クリエイターズ」に参加して

「木町通クリエイターズ」とは 「木町通クリエイターズ」に参加して (1)風景の想像 (2)風景の変化 発表後のやりとり パネラー・熊谷さんからの3点のコメント 高倉からの返答 「物言う市民になることが大切!」と物申す聴講者に対して 「木町通クリエイ…

fieldnote 通る、迎える身体

連日、ポノロゴの村々で行われているレオというお祭りを見て回っている。ある村で、僕はガムランの異様な熱気にくらくらしながら、若者がクンダンを叩いている姿を念入りに観察していた。すると、楽器隊の男たちがこちらを見て笑いながら手招きしている。ど…

fieldnote 在廊というパフォーマンス

いっぱい栗!!!ユーモラスな引き継ぎ 展示という制度・「触りたくなる」という発芽 在廊というパフォーマンス まちと詩、家をカリンバ化する、若者は食べねば 20221002 在廊@ギャラリーチフリグリ ↓ カリンバと詩とframeと星空@喫茶frame/星空カフェ いっ…

fieldnote 「動物園で見つめる先に、」「土地をぬう道、ヤトがくる」

黑田菜月「動物園で見つめる先に、」(SARPspaceA) 阿部明子「土地をぬう道、ヤトがくる」(SARPspaceB) 黑田菜月「動物園で見つめる先に、」(SARPspaceA) 2022.8.30(火)〜9.4(日) 【仙台写真月間 2022】黑田菜月「動物園で見つめる先に、」11:00-19:00(最終…

すれ違う栞の束と (3)

すれ違う栞の束と 仙台市 台東区 不忍池 綺麗な蓮のたもとでばてている鳩 ポノロゴで信号待ちをしていると、中央分離帯に立っていたひとが近寄ってくる。空っぽの竹籠を片手に提げて、なにかスナック菓子のようなものを運転席に突きつけたが相手にされない。…

すれ違う栞の束と (2)

すれ違う栞の束と * また目眩が来る。魔法をかけられて、なにもカメラに映らなくなる。 石巻市 最寄りのコンビニまでの道 焼け焦げた牛の頭蓋を脳天から叩き割っている男たちがいる。小学生くらいの子どもが切り分けられた山羊の内臓をせっせと持ってきて、…

すれ違う栞の束と (1)

すれ違う栞の束と * それはすべて、目の前にいるひとを信じてしまったからだった。 Ponorogo 砂遊びをする少年 千葉市 23時、目の前 運ばれてきたものをしばらく、見つめてみる。なんだかいつも、さっさと破いて中身を取り出してしまいがちな気がして、今日…

いつの間にか踏み越える/戸惑いながら立ち止まる - メモ

いつの間にか踏み越える/戸惑いながら立ち止まる - メモ 3月26日 メディアテーク7階をあとにした二人の会話から 概要 3月26日、メディアテークで行われた「オンラインボーダレス映画祭2022」というイベントに参加しました。僕は映写室のなかで音量や照明を…

fieldnote 伊東卓個展「光の穴2」 - 光のアンビバレンスについて

伊東卓 光の穴22021.11.2(火)~11.7(日)11:00~19:00 (最終日17時)[スペースA・B]「穴は息苦しいほどの闇が充満していた。光は反射するものを捉えられず、虚しく落ちる。ここでは影のほうが実体ではないか」明日から開催致します。#サープhttps://t…

聴けば残るもの #03(「mizugarasu」「あふれる」「1ユーロ返して」)

※note上で2021年10月31日に公開した文章を再掲しました。 RYUTist「mizugarasu(ウ山あまねRemix)」 やながみゆき feat.さとうささら「あふれる」 ミシェルメルモ「1ユーロ返して」 RYUTist「mizugarasu(ウ山あまねRemix)」 作詞・作曲:君島大空 新潟市のア…

聴けば残るもの #02(細井徳太郎「エンガワ」)

※note上で2021年10月2日に公開した文章を再掲しました。 「エンガワ / 細井徳太郎」(作詞・作曲:細井徳太郎) ネット上に歌詞が公開されていないので、僕が聴き取ったものを下に書き残す。この記事はほぼそれだけの記事です。 窓越し見つめてた腰の折れた影…

聴けば残るもの #01(宝鐘マリン×yunomi「unison」)

※note上で2021年9月8日に公開した文章を再掲しました。 「unison / 宝鐘マリン」(作詞・作曲:yunomi) Aメロ:母音「a」のアクセント トラック:ヴォーカルとの相補的な絡み合い サビ:「主旋律」の不在、全体性としてのメロディ 深海〜ラスサビの展開:サウ…

持ち寄って、拡散する - 「つながるインドネシアカフェ」についての小レポート

カウンターで気仙沼育ちの新社会人とインドネシア実習生が話し込んでいた。さっきまでインドネシアの年末年始の行事や食べ物が話題だったが、いつの間にか気仙沼パークホテルの近くにある「F-BOX」というトランポリンパークの話になっている。カフェの端っこ…

interlude/祭りのあと - 個展「景に遇う」の場にゆらめいたことについて

はじめに この文章は非常に微妙な位置にいる。まず、その微妙さについて簡潔に述べておきたい。 世に多く出回っている評論などの散文作品、記事・紹介文などの説明的な文章は基本的に、読者に対して最大限の配慮をしながら、「伝えたいことを伝える」ことを…

fieldnote みはらかつお個展「千年景-仙台2021-」

turn-around.jp 開催中みはらかつお個展千年景-仙台 2021-2021.10.12火曜 ~10.17日曜11:00~19:30、日曜~16:00迄 Gallery TURNAROUND宜しくお願い致します。https://t.co/vBhkX2btQY.… pic.twitter.com/19UZiDax5H — Gallery TURNAROUND(タナラン) (@TURN…

fieldnote 仙台写真月間2021ㅤ(2)

仙台写真月間2021稙田 優子「雨包、粒子」2021.9.21(火)~9.26(日)11:00~19:00 (最終日17:00まで)[スペースB]このタイトルを私は「ひょう、りゅうし」と読む(作家テキストより)#サープ#仙台写真月間 pic.twitter.com/XPdMtkeQz5— SARP 仙台アーテ…

fieldnote 仙台写真月間2021‌︎ㅤ(1)

高橋親夫「ここにいた時は子どもだった」 花輪奈穂「傍らに立つ」 小岩勉「FLORA#07」/野寺亜季子「a #3」 照井隆「Lines&Colors」 高橋親夫「ここにいた時は子どもだった」 仙台写真月間2021高橋 親夫「ここにいた時は子どもだった」2021.9.7(火)~9.12(…

木村敏『異常の構造』 - メモ

「正常の側から異常を語るということが果たしてどこまで可能なのか、というのは考えてしまうな」 「それは当事者性を欠いている、とか、そういう問題?」 「いや、だいぶ違う。当事者性については、西村ユミ先生と宮子あずさ先生が話していたことを忘れたわ…

本屋と時間 - 『仙台本屋時間』について(と今の心境をすこし)

「火星の庭」店主・前野久美子さん主導で作られたZINE『仙台本屋時間』に、僕も少しだけ関わっていた。打ち合わせへの参加、前野さん担当部分の取材参加、取材メモ作成(音声データの書き起こし)、書店基本情報リスト作成、掲載許可取り、コラム「本とひと。…

「読む経験」の核心を書く - フリーペーパー『「曲線」の書棚から』という場所について

仙台市青葉区八幡にある「曲線」という本屋さんと勝手にコラボレーションして、『「曲線」の書棚から』というフリーペーパーを作っている。2021年2月に一作目を作って、8月に二作目を作った。今はとりあえず、ごく僅かの部数だけを刷って「曲線」さんのフリ…

「好き」と言葉にする、その先 - メモ

「好き、という言葉についてどーたらこーたら言ってたけどさ、誰かを好き、とか、何かが好き、とか、そういうのはすごく感覚的なことでしょ?」 「もちろんそうだ。だから、僕は感覚を否定したいわけじゃないよ」 「じゃあ何を否定したいのさ」 「いや、否定…

「表現」についての覚書

写真家・一之瀬ちひろさんと映画監督・小森はるかさんによるトークイベントについての文章。二人の「実践に対する態度」について、二人の言葉に立脚するかたちで整理する。続いてゆく制作行為のなかで、「表現」はどのような形をとるのか。